「此処に居て長くなるが、此処に居ると不思議な事に今まで必死に生きた中での、辛かった事が忘れられるんだ。幸せだった事も忘れてしまうようだが。
でも何かに気付いた時に、この世界から出られる気がするんだよ。
でも此処に居るということは、心を無くした者達と大して変わりはしないのかもしれないね。」

「そんな事は無いと思います。もしこの世界から出られ無かったら、また来ても良いですか?」

「いつでもおいで。そうならない事を願うけどね。」

佑桜は、歩く犬を追い民宿を後にした。

お婆さんは思った。
「わたしもいつまでも彼等のようでありたかった。」