沖田総司は恋をする

どうしてだろう。

この時代は、幕府や新撰組が敗北した結果に築き上げられた時代で。

僕の嫌悪していた西洋化のすすんだ時代で。

侍も、刀も、武士道も全て滅んでいて。

来た当初はあんなに落胆していた時代だったのに。

今となっては、楽しかった思い出しか浮かばなかった。

海の見える公園で、奈津美さんと並んで景色を眺めた事。

火事から幼子を助け出した時に、奈津美さんに頬を叩かれた事。

高い建物から景色を見ながら、奈津美さんと食べた「そふとくりぃむ」。

この時代の思い出には、全て奈津美さんがいた。

この時代は、奈津美さんそのものでもある。

「…僕は、ずっと奈津美さんの事を忘れません。来たるべき新時代が、奈津美さんが笑って暮らせる時代になるように…奈津美さんが幸せに暮らせる時代になるように…僕は剣を振るいます」

それは、遠い未来の約束だった。









「150年先の愛する貴女の為に、僕は命を賭して戦います」