沖田総司は恋をする

僕はへきるさんの方に向き直る。

「へきるさん、お願いします」

「…わかりました」

へきるさんも泣きたいのをぐっと堪えて、時間跳躍機を操作した。

まず最初に、吉田が元の時代に戻っていく。

…複雑に絡み合う光の渦に包まれながら、吉田の体は目の前から消えていく。

「……」

「……」

次は僕の番だ。

これで本当のお別れ。

ここで言い残していたら、もう二度と会う事はない。

一生悔いが残る事になるだろう。

「奈津美さん」

僕はもう一度だけ、奈津美さんの顔を見た。