沖田総司は恋をする

ついに堪えきれなくなり、奈津美さんの瞳から涙が零れ落ちた。

「それなら…それならせめて最後に…抱きしめて下さい」

「…………」

できる事ならば、どれだけ抱きしめたかっただろう。

力の限り、抱きしめてあげたかった。

奈津美さんのぬくもりを二度と忘れぬように、ずっと抱きしめていたかった。

だけど僕は、奈津美さんのその願いすら、叶えてあげる事はできない。

「僕に近寄らない方がいい…病がうつってしまったら…別れ際に労咳をうつしてしまったら、僕は死に際まで悔やむ事になる」

「…………っ」

最後の願いさえ聞き遂げてあげられない。

奈津美さんの泣きじゃくる顔を見ながら、僕は心の中で感情を押し殺していた。















奈津美さん、ごめんなさい。

こんな男で、本当にごめんなさい…。