それは、決闘が始まる前から、へきるさんと交わしていた約束だった。

どのような結末になろうとも、残った者を幕末へと戻す。

予定は多少変わり、僕も吉田も生き残ったものの、元の時代に帰る事は既定事項だった。

なのに。

「……」

へきるさんは、僕らを帰す事を躊躇っているようだった。

「へきるさん…時間跳躍機は、もう調整は済んでいるのでしょう?」

「え…ええ…」

歯切れの悪い返事を返すへきるさん。

何かを言いよどんでいる事は明白だった。

…そのへきるさんを代弁するかのように。

「沖田さん、あの時の返事を聞かせてもらっていません」

奈津美さんが、僕の前に立った。

「この時代に、残る気はありませんか?」