刀を突きつけたまま、吉田を睨みつける沖田さん。

「…俺の負けだ」

吉田は諦めたかのように、溜息混じりに呟いた。

刀は弾かれ、目の前に沖田さんの刀の切っ先が向けられている。

この状況からでは、最早吉田に勝ち目はない。

「貴様の勝ちだ。煮るなり焼くなり好きにするがいい」

覚悟を決めたように、その場に胡坐をかく吉田。

しかし。

「…?」

何を思ったのか、沖田さんは刀を鞘に納めた。

「何の真似だ?」

吉田が言う。

「とどめを刺せ。同情などいらぬ」

その言葉に、沖田さんは私達をチラリと見て。

「彼女達の前で、人死になど見せたくはない。決着は元の時代に戻ってからだ」

そう、静かに言った。