沖田総司は恋をする

既に何十合。

剣の奏でる音楽は神社に響き渡る。

両者の実力は互角。

どちらもひと太刀たりとも浴びず、浴びせられない事を思えば、互角と評するのが正しいだろう。

やがて、見ている方すらも呼吸を忘れるほどの攻防の末。

「…」

「ちっ…」

二人は一旦間合いを離した。

舌打ちしたのは沖田さんの方だった。

「どうした一番隊組長。動きに精彩がないな」

吉田が刀を構えたまま笑う。

あれだけの太刀さばきを見せておきながら、沖田さんの動きに精彩がない?

それなら、本調子の沖田さんはどれだけ強いというのか。

いや、それよりも、沖田さんの動きに精彩がないというのは…。

「沖田さん…労咳を発病しているわ」

隣で小さく、へきるさんが呟いた。

「…!!」

その言葉に、私は愕然となる。

確かに私と一緒にいた時も、酷く咳き込んでいたけれど。

沖田さん、そんな体でこの場にやってきたっていうの…!?