沖田総司は恋をする

空には、大きな満月が光り輝いていた。

その月明かりの下で、僕と吉田は対峙する。

「奈津美さんを放してもらおう。僕が来たのならば、既に彼女に用はあるまい」

「…よかろう」

吉田は奈津美さんを後ろ手に縛っていた縄を解き、その背中をトンと押してやる。

「……」

ヨロヨロと駆けてくる奈津美さん。

「怪我はないですか?」

僕が尋ねると、涙ぐんだまま、コクンと静かに頷いた。

…よかった、本当に良かった。

僕の落ち度で彼女に何かあったら、悔やむに悔やみきれないところだった。

「下がっていて下さい」

僕は振り向かず言った。

…ここからは、もう幕末の戦い。

この時代の人間は無関係だ。

最早言葉は必要ない。







語りたくばその刃で語れ。





吉田の鋭い眼光が、そう訴えていた。







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