沖田総司は恋をする

「娘」

吉田が私に声をかける。

「時にお主…沖田を好いているのか?」

その言葉に、思わず頬が熱くなった。

「図星か」

彼はフッと笑みを浮かべた後。

「許せ。お主の好いた男、この手で斬る事になる」

真顔で、そんな不吉な事を口にした。

「…どうしても戦わなければならないんですか?話し合いで解決とか…」

「そのような事ができれば、黒船来航から十五年も争ってなどおらぬわ」

自嘲気味に笑う吉田。

…そうなのだ。

みんなそれぞれに譲れない思いがあって、そんな気持ちがぶつかり合って、幕末の動乱は起きたんだ。

みんな、日本という国の事が心配で、思いは同じ筈なのに。

なんでそんな人達が、刀で斬り合わなければならなかったんだろう…。

それを思うと、何だか悲しくなった。

…その時。

「吉田稔麿!!約束だ!!奈津美さんを返してもらいに来た!!」

声が聞こえた。

聞き覚えのある声。

「沖田さん…!!」

不安だった私の心に、その声は何よりも頼もしく響いた。