「おかえりなさい。沖田さんちょうどよかったわ、さっき時間跳躍機の調整が終わって…」

言いながら僕を出迎えたへきるさんは、僕の表情を見てすぐに異変を察知した。

「…何かあったの?奈津美ちゃんは?」

「…申し訳ありません、僕がいながら…」

僕は先程起こったばかりの事を、へきるさんに全て説明した。

…へきるさんは青ざめた顔で言葉を失う。

無理もない。

僕以外にも時間跳躍機で呼び寄せられてしまった者がいた事、それが僕の宿敵であった事、その上、奈津美さんが連れ去られてしまった事。

あまりにも、悪い事が重なりすぎている。

だが、悲観している暇はなかった。

すぐにでも奈津美さんを助けなければならない。

そしてそれは、誰でもない僕自身の役目だ。

「へきるさん」

僕はへきるさんの顔を見る。

「奈津美さんに預けていた、僕の刀がある筈です。僕に返して…」

言いかけた時だった。

「ごほっ!!!」

一際大きな咳。

それと共に。