奈津美さんと口もきかないまま、翌朝を迎えた。

「あ、おはようございます沖田さん」

食卓で僕の姿を見て、挨拶をしてくれたのはへきるさんだけだった。

奈津美さんの方は、無言である。

…彼女の名誉のために言っておくなら、怒っていた訳ではない。

ただ気まずそうに、俯いていただけなのだ。

「…おはようございます」

僕は自分の定位置の席に座る。

そして、昨日の事について弁解しようとして。

「あのっ、沖田さんっ」

奈津美さんに出鼻をくじかれた。

「昨日はあんな失礼なこと言ってすみませんでした!私どうかしていたんです。私みたいな何の取り得もない人間が、沖田さんほどの偉業を為し得た方に、あんな偉そうな事を…」

「いえっ、そんなっ、どうかそのように気に病まれないで下さい!僕の方こそ、奈津美さんにそこまで心配をかけているとも知らずに…」

食卓を挟んで、互いに頭を下げる僕と奈津美さん。

その様子を見ながら。

「どうでもいいけどさあ」

へきるさんが頬杖をついてニヤニヤ笑った。

「そろそろ朝食にしない?冷めちゃうわよ?料理」