「憂国の士だか何だか知りませんけど」

奈津美さんは、僕をキッと睨んだ。

「私には沖田さんの考え方は理解できません。自分の命をないがしろにする人より、臆病で命を惜しむ人の方が、ずっと好感が持てます」

彼女はそう言い残し、走り去ってしまった。

「……」

奈津美さんの言葉に衝撃を覚えたまま、僕はただ立ち尽くす。

と。

「沖田さん」

へきるさんが僕の肩を叩いた。

「気にしないで下さいね…なんだかんだ言っても、奈津美ちゃんは沖田さんの事が心配だったんです…確かに私から見ても、沖田さんはどこか命知らずな感じがするから」

「……」

命知らず。

それは侍にとって賛辞の言葉だと、僕は思っていたが…。









奈津美さんの言葉を反芻しながら、僕は俯いていた。