僕は、忙しく動き回るへきるさんの手伝いをしている、奈津美さんの所に向かった。

奈津美さんは、へきるさんの助手として、学生の時分よりこの場所に出入りしているのだという。

今ではへきるさんの有能な右腕なのだそうだ。

「奈津美さん、よろしいですか…?」

僕が声をかけると、奈津美さんは驚いたように振り向いた。

「沖田さん…どうかしましたか?」

忙しい最中に声をかけたというのに、奈津美さんは嫌な顔ひとつせずに僕に応じてくれた。

「実は、ひとつお尋ねしたい事がありまして…」

「……」

僕の表情を見て、深刻な話だと察したのだろう。

「奈津美ちゃん、少し休憩してきなさい」

へきるさんが微笑んだ。

「…わかりました。沖田さん、部屋を替えましょうか。お茶を準備してきますね」

奈津美さんはそう言って、厨の方へと向かった。






僕の部屋へと移動し、奈津美さんと向かい合って座る。

「で…沖田さん、お話というのは…?」

「はい」

姿勢を正し、正座のまま、僕は奈津美さんを真っ直ぐに見る。

「新撰組の最期を、教えて頂きたいのです」

「……!」

奈津美さんは、神妙な顔になった。

その表情は、ある程度覚悟をしていたようにも見えた。