それぞれに朝食をとりながら、会話に興じる。

「沖田さん、私は今日から時間跳躍機の調整に入ります。一刻も早く、沖田さんを元の時代に戻せるように努力しますので」

へきるさんの言葉に、僕は箸を止めた。

「お心遣い、感謝いたします。よろしくお願いいたします」

深々と頭を下げると、へきるさんは恐縮しているようだった。

「それでですね」と、へきるさん。

「それまでの間、この時代の日本を見学などしてみてはどうかと思うんです」

「見学?」

「はい。貴方の時代とどこがどう変わったのか、見ておくのも悪くはないかと思います」

「……」

正直、気分は乗らなかった。

西洋に支配されてしまった日本の姿など、直視に堪えないと思った。

しかし…それを見ておく事で、元の時代に戻った時の決意に繋がるかもしれない。

今の惨状を見ているからこそ、志士達と戦う原動力になるやも知れない。

それに、僕を気遣ってくれるへきるさんの心配りも嬉しかった。

「それでは」

僕は表情を僅かに緩ませる。

「お言葉に甘えさせていただきます」

「そうですか」

へきるさんはニッコリ微笑んだ。

「奈津美ちゃんに案内させます。どうか、楽しんでいってくださいね」