翌朝。

寝床で目を覚まし、溜息をつく。

…夢であればよかった、などと思っていたのだ。

昨夜の事は全て悪い夢で、目が覚めれば僕は新撰組の屯所にいて、土方さんが「総司、いつまで眠っている?」なんてからかってくる。

そんな目覚めを期待していたのだが…。

「沖田さん、起きていらっしゃいますか?」

襖越しに、奈津美さんの声が聞こえた。

「はい」

僕は体を起こし、布団を軽く畳んだ。

「おはようございます、奈津美さん」

「失礼します」

襖を開け、奈津美さんが部屋に入ってきた。

「よく眠れましたか?」

「……」

僕は返事に躊躇う。

それを見て。

「そうですよね、慣れない部屋だし、知らない時代だし」

奈津美さんは苦笑いした。

「朝食の準備ができています。よろしかったら後で食べにいらしてくださいね」

そう言って微笑を浮かべ、奈津美さんは部屋を出て行った。