風呂を頂戴した後、僕は再び部屋に戻り、その日は就寝する事にした。

「ベッドもありますけど、お布団の方がいいですよね?」

奈津美さんが気を利かせて、部屋に布団を用意してくれた。

ベッド…寝台の事らしい。

どうも苦手だ、そのような西洋かぶれのものは…。

しかし。

…寝床につき、暗い部屋の中で考える。

僕の時代からおよそ150年が過ぎたというこの時代。

日本は西洋化が進み、僕の知る古きよき時代の面影はなくなってしまったように思えた。

思えば、この時代の人々は刀すら帯びていなかったように思う。

…既に僕らの時代でも、近代化の波が押し寄せていた。

倒幕派の連中の中にも、西洋より取り寄せた近代兵器で戦をする者がいた。

奴らは言っていた。

これからは剣ではなく銃の時代だと。

…それを聞く度に吐き気を催したものだ。

技も魂も不要な、ただ殺しあうだけの兵器。

そんなものの為に、武士の、侍の時代は終わっていくのかと。

…その時代が、まさに今、目の前にあるのかもしれない。

「……」

知らず、僕は歯痒さに天井を睨みつけていた。