夜月「女の子じゃん、聞いてみる?」
『あぁ』
どんどん近づいてくる女は下を向いていて顔が見えない。
俺らの正面に来たときに声をかける。
『なぁ…』
「……なに」
そう言って顔を上げた女。
その顔を見たとたん、言葉を失った。
「……なに」
何も言わない俺たちを不審に思ったのか女が再び聞いてくる。
『……っ……理事長室どこ?』
「……そこの階段上がって3階」
女はそれだけ言ってスタスタ歩いていった。
『「「「………」」」』
女が去った後も俺らはしばらく固まっていた。
目にしたのは、
茶髪のロングヘアーの女。
大きな目、
高い鼻、
形の綺麗な唇、
透き通るように白い肌、
引き込まれるような艶のある声。
全てが完璧な女だった。