翔太「誰だっ!!!」
部屋には談笑する二人のオジサン。
……えーと、翼の父親の翔太さんと新川組の組長さんですかね…
と、その隣にこの世の終わりみたいな顔をした翼と翼の横にぴったりくっつく女。
あー、あの人ね。
ピンクの着物で着飾った新川組のお嬢さん。
えーと、どうしようか。
実はこの後のことなんも考えてないんだよね。
『…初めまして、私は翼さんとお付き合いさせていただいている者です』
スッと翔太さんの前まで行き、正座をして真っ直ぐ目の前の翔太さんと目を合わす。
翔太「……はっ!!!?お前、彼女いたのか!!!?」
翼「そうだよ、俺はこの子以外と付き合うつもりも結婚するつもりも一切ないよ」
さらっと恥ずかしいことを言って翼はあたしの横に座り直した。
『……失礼なことと承知していますが…どうかこのお見合いを破談にしていただきますようお願い致します』
出来るだけ丁寧に。
出来るだけ真っ直ぐ自分の思いをぶつける。
翔太「しかしなぁ…」
新川「ちょっ、ちょっと待ってください。こんな得体の知れない女よりうちの娘のほうが翼さんの隣には相応しい!!!」
それまで黙っていた新川組の組長が口を挟んできた。
……得体の知れない女って(笑)
まぁ、そりゃそうか。
美子「…あなたこの綾崎がどういう所かも分かっていないクセに。どうせ喧嘩のたしなみもない守ってもらうばかりの価値のない女でしょ」
女は得意気に笑った。
翼「……裏表激しいな、コイツ」
ボソッと呟いた翼。
どうやら、もっと女らしく振る舞っていたようだけど。
…というか…………誰が喧嘩出来ないって?
『…一応、自分で自分の身を守れるくらいの術(スベ)は身に付けていますよ』
黒いオーラを隠すこともせず、
ニコリと笑って言い放つ。

