翼side
律「………で?なんかあったんでしょ?」
少し落ち着いてベンチに腰かける。
どうやら、お見通しらしい。
『………見合いしろって…』
律「………はぁ!!!?」
『勝手に約束されてて……でも、律以外の女なんてどうでもよくていてもたってもいられなくなった』
律「……ありがと」
少し照れた様子の律が俺よりはるかに細い腕で抱きしめてきた。
ふんわり香る花のような匂いがいとおしい。
律「……それ、翔太さんと怜子さんに言われたの?」
『……ああ』
律「ふーん………ぶっ潰していい?」
ニヤリと笑う律はもう紅の雰囲気。
普通の女とはまるで違い、見合いの席をぶち壊そうとするこの妖艶な姿さえ、俺を溺れされる。
『……いいぞ』
大人しく待っているのは性に合わないらしい。
まぁ、いいか。
これでこそ律なんだから。

