律side
翼からの電話から約5分ほど。
あたしは指定された公園のベンチに1人腰を下ろしていた。
9月とはいえ、まだ暑い。
遠くからバイクの音。
あ、来たかな?
しばらくすると背後に足音を感じて振り返ろうとした瞬間、
『…うわっ』
━━━ぎゅっと抱きすくめられた。
しかも、後ろから。
『ちょっ、どうしたの、翼?』
犯人はもちろん、この男なんだけど……
あたしの肩に顔を埋める翼の様子がいつもと違う。
翼「………律、」
切なく甘い声で呼ばれる。
低い声は心地よくて、胸が締め付けられるくらいキュンとした。
『なにかあったの?』
とりあえず抱き締められたま、聞いてみる。
━━━ギュッッ…
『え、ちょっ、翼?』
さらに強く抱き締められる。
く、苦しい。

