『はぁ……』


それから学校にいても、家に帰ってもため息。

確かに烈の言う通り律が好きだ。
でも、俺なんかでいいのだろうか?

勉強も喧嘩も何もかも律の方が上。

考えて、自分で勝手に沈んでいた。




『………ただいま』


怜子「あ、おかえり。お父さんが呼んでたわよ」

家に帰るなり親父からの呼び出し。


『…なんで?』


思いあたる節はない。


怜子「ま、いいからっ」


『…ちょっ』


いつになくテンションの高いお袋に引っ張られ、制服を着たまま親父の所へ。



翔太「お、来たか」


部屋に入るといつもと変わらない呑気な親父。
これでも組長だが。


まぁ、八神の組長のほうが強烈だ。



『で、何か用事?』

お袋はすぐに親父の傍に移動していた。




翔太「あー、お前に見合いの話が来ててなぁ」


と言ってお見合い写真を差し出す。



『はぁ!!!?誰が見合いなんかするか!!!』


何言ってんだ、このクソ親父。




翔太「でも、新川組のお嬢さんだぞ?美人だし。どうせお前彼女もいないだろ?」



新川組は俺の家である綾崎組より少し下の格付け。

『だから、しないって』


どうでもいいから見合いなんか。
こっちは律で頭がいっぱいなんだよ。


翔太「もう、予定組んじゃったし?ホレ、写真見とけよ」



『ふざけんじゃねーよ!!!』



何てことしてくれてんだこの親父。

つーか、どこが美人なんだよ。
写真見てもどこにでもいる顔じゃねーか。