翼side
誰がこんな光景を想像しただろうか。
敵の多さにボロボロになりながらようやくたどり着いた、律の元に。
真っ白な部屋に真っ白な服を着せられて、
律は震えていた。
いつもは強気な真っ黒な瞳も悲しげに揺れる。
そして律に迫る1人の男。
………こいつが鈴次か。
まるで自分の獲物だと言うように、
律を見つめ、俺に敵意を見せる。
『…………律』
身体は勝手に動く。
ただ鈴次に拳を振りかざした。
━━━バキッ…
鈍い音が響く。
『………チッ』
鈴次1人だった部屋に敵がなだれ込んできた。
桜花と翠嵐があれだけ倒したのに、
まだこんなにいるのか。
限界に近い身体でなんとか持ちこたえる。
━━━━━━ドカッ…「ぐっ…」「う、ぐぁ」
目の前の敵が一瞬で崩れ落ち、
何も見えていないような無の瞳がそこにいた。

