『……翼っ!!!』
蹴り破られた扉の奥から見えた姿。
………ボロボロで、傷だらけで、今まで感じたことのないような殺気を纏っていた。
翼「……律は返してもらう」
鈴次「…やれるもんならなっ!!!」
その言葉とともに始まった殴り合い。
鈴次は一応全国No.3の闇烏の総長。
ボロボロの翼にはかなりキツいはずだ。
翼「……チッ」
━━━バキッ…
━━━━ドカッ……「……くっ…」
二人が殴り合っているその後ろの扉から闇烏の下っぱがなだれ込んでくる。
………チッ、どこに隠れていやがった!
『…………やめろー!!!』
思いっきり腕のロープを引きちぎり、
敵に向かっていった。
それからのあたしはなにも覚えていない。
ただ、翼があたしを呼ぶ声が聞こえた気がした。
でも、分かる。
きっと、『紅』が覚醒したのだと。

