鈴次があたしの方を振り返る。
殺気と言うより狂気。
………コイツは狂ってる。
鈴次「やっと手に入れたんだ。逃がすかよ」
地を這うような低い声。
大嫌いな声だけど、
怒りに満ちたあたしはそんなことどうでもよくなっていた。
『………ッ…』
脚は鈴次が退いて自由だが、
腕はロープで縛られている。
力を込めてもほどけない。
あー、くそっ。
皆のところに行きたいのに。
焦る気持ちが募る。
「…………ッ…けっ!!!」
「………くっ!!!」━━━バキッ……
━━━━━バンッ……
声が聞こえたと思ったら、
部屋の扉が力任せに蹴り破られた。
「……………律!!!」

