翼side 『………ん』 目を覚ますと、いつもの部屋にいた。 律は帰ったか? 辺りを見回しても、誰もいない。 僅かに律の香りだけが残っていた。 あ、そうか。 俺、いつの間にか寝てたんだな。 記憶を手繰り寄せながら、身体をおこす。 もう、熱はひいたみたいだ。 『……え?』 ベットの側の机に置かれた手紙に気がついた。 恐る恐る手に取ると、 綺麗な字で「翼へ」と書かれてあった。 何故か嫌な予感しかしなくて、 俺はしばらく固まっていた。 意を決して手紙を開いた。