幹部たちにも別れを告げ、倉庫を後にする。 …………少し空が赤みがかっていた。 倉庫が見えなくなった頃、 自然と足が止まった。 『…………翼』 その名前を呼んでも、返ってくるのは夏の五月蝿い蝉たちの合唱だけ。 やっぱりあたしはあなたの側に居るべきではなかった。 またスタスタ歩き出す。 あたしの瞳に何も映ってないことに、 あたし自身、気付いていなかった。