翼「律、ごめん」
……急に翼が総長の顔になった。
『…………え?』
翼「桜花に迷惑かけた」
やっぱり昨日のことか……
不意に翼と目が合った。
翼は真っ直ぐあたしを見る。
翼「………俺が弱いからだ。守りたいものを何一つ守れない。紅みたいになりたいのに」
『………』
言葉が出なかった。
ねぇ、翼。
あたしはそんな立派な人じゃない。
皆に頼りっぱなしで、迷惑ばっかかけて。
喧嘩だって確かに強くなったけど、
今のままじゃ、まだ殺られる。
それに、昨日のこともあたしのせい。
翼「……俺は、後悔だけはしたくないんだ」
後悔だけはしたくない。
その言葉がやけに耳に残った。
あまりにも翼の目から強い意志を感じるから、
あたしは目を反らしそうになる。
『………え?翼?』
不意にその目から涙が零れ落ちた。
ーーーーーギュッ
翼はあたしの首もとに顔を埋めて、
真っ直ぐで綺麗な涙を流した。
翼「……ごめん」
優しく包み込まれて、翼が少し震えているのに気がついた。
甘い匂いはあたしの体温を上げていく。
『………』
何も言えなかったけど、
あたしも翼をギュッと抱き締めた。
………大丈夫、翼は強くなれるよ。
優しくて、
真っ直ぐで、
仲間のために涙を流せるあなたなら。

