アイツの登場で俺の雰囲気は一気に変わる。
抑えても抑えても、殺気が溢れ出る。
『……やっぱりテメェか、鈴次』
自分の声とは思えないほど、
低く、冷たかった。
そんな俺とは対照的にアイツはヘラっと笑う。
鈴次「流石だねー。翠嵐狙ってんの気付いたんだ?」
『狙うのは俺だけで充分だろ!?』
なんで…翠嵐が狙われる必要があるんだ!?
鈴次「桜花を狙っても勝つの難しいし?つーか、翠嵐も目障りだったし?……んで、なにより………」
そこまで言って鈴次が俺の前に来る。
俺の顔を覗き込んで、
鈴次「……そうそう、紅の悔しがる姿を見たかったんだよ」
ニヤッと笑う鈴次と目があった。
もう、思い出したくないのに…
大嫌いな茶色い目が、
大嫌いな明るい金髪が、
大嫌いな少し高めで耳に残る声が、
あたしの目の前をぐちゃぐちゃにした。

