百瀬君の生態記録。






顔を上げられない、絶対気づかれた。




だけど、俯いたままという訳にもいかないので、観念してそっと顔を上げると。




乱れた服の女子生徒の後ろ姿と、




その一歩後ろでこちらを向いて少し驚いた顔の男子生徒。




笑みを孕んだ様にも見えるその双眼の持ち主と目が合う。




こわばる体でぐっと持っていた資料を落とさないように強く抱えた。




見覚えがある顔だった。




どこで見たのだろうか。




その男子生徒は、乱れた服の女子生徒に耳打ちをすると、ゆらゆらとこちらに向かってきた。