だけど、それを認めたくはなかった。
「秘密だよ?」
そう言って再度問う百瀬君。
すると、さらに距離を縮めふと、思いついたように
「内緒って約束守れないなら..キス、しちゃうよ?」
それはほとんど吐息のような声だった。
するりと手の力抜け、散らばる資料を目で追いながらも拾おうとはしなかった、
出来なかった。
「は...え、あの...は?」
男に抗体のない私にはこの場面で咄嗟に逃げるなんて不可能に近くて。
自分の体なのに思うように動いてくれなくて、腹が立つ。
華奢な彼の下で必死に焦る私の様子を見て百瀬君はは面白がってからかうように、
どうしてか声なくして笑う。
