教室の片隅で静かに本を読んでいるような。
長い髪の毛に眼鏡をかけていつも窓の外ばっかり見ているような。
そんなのが私が知っている百瀬君だった。
ほら、今だってあの眼鏡かけてないし。
混乱しすぎて、ツッコミどころは溢れるほどあるのに言葉が喉に引っかかってうまく声になってくれない。
「おーい」
そんな私の様子に面白がるような声色で、百瀬君は私を覗き込んだ。
いつも長い髪の毛と眼鏡で素顔すらちゃんと見たことがなかった。
だから、こんなに顔が整っていて、こんな綺麗な女の人のような肌をしてるなんて知らなかった。
眼鏡がないだけで人の印象という物はこんなにも変わるものなのか。
そんな初めて見る百瀬君の素顔に平熱高めの私の体温が上昇したのは事実。
