「何っ……するん」

「男を…舐めるからだよ……」


わたしのファーストキス――……。


小さい頃にはあったハズだけど、物心ついてからは、初めてだったのに。


動揺している自分が悔しくて、思わず先輩をキッと睨んだ。


「ごめん、ごめん。もしかして初めてだったりした?」


確かに好きな人とのキスだけど、こんなの、全然嬉しくない。


「もういいです!!先輩なんか知らない!」

「お互いさま」


――それから現地の駅に着くまでの数十分、わたしと先輩は、一言も口を訊かずにいた。