「…どした?」


不意に先輩の顔がアップになる。


「うひゃあっ!?」

「うひゃあって(笑)。オマエ、どこのリアクション芸人だよー」


ケタケタと笑いながら、また頭をポンポンと軽くはたく。


その手が子どもをあやしてるようにしか思えなくて。


残酷な気持ちが、さらに加速する。


「ねえ、先輩?」

「どした??」

「先輩って…お姉ちゃんのコト、好きなんですか??」

「なっ…に言って」

「好きなんですか?」


――これ以上、好きにさせないで。


勝手なコトを言ってるのはわかってる。先輩は何にも悪くない。


先輩は何も――……。


「好き、じゃない」


さっきまで優しかった瞳が、敵を射るような鋭い色に変わっている。


「好きじゃないから……」


再び顔がアップになり、唇に何かが重なった。


「こんなことだってできちゃうんだよ?」