西門くんと私はあまり人のいないところにいた。
西門くんは、何も言わない。
私は何も言えない。
風の音だけが聞こえる。
「……和田と白坂さんには、木の下にいるように言ってある……」
「そっか……じゃあ、そっちに…」
私がそっちに行こうと言おうとしたのを遮るように、西門くんが私を抱きしめた。
私は、驚いた。
「ごめん……俺、やきもち妬いた。理由も聞かずに天坂さんをここまで引っ張ってきた……」
「でも、俺、天坂さんのこと好きだから……取られるんじゃないかって……不安になって、止まらなかった。」
「西門くん……」
西門くんにこんな思いさせてたなんて……私……
「西門くん、ごめんね」
私は、西門くんを抱きしめ返した。

