数分歩いて、私は最悪なヤツと出会ってしまった。
私を散歩くらい前から見下ろしてる。
滝城涼介……
私は、違う方に歩き出した。
それを滝城涼介が追ってくる。
「百合‼︎待って‼︎」
百合なんて呼ばないでって言ったじゃない‼︎‼︎‼︎
私は走った。
しかし、すぐに滝城涼介に腕を掴まれた。
「何で逃げるの?」
何…その喋り方……
周りに人がいるかもしれないから?
「何で逃げるの?」
もう一度言った。
「………」
私は黙る。
「………」
滝城涼介も黙る。
そして、私を抱きしめた。
は⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎
いやいやいやいや、何してんの⁉︎⁉︎
私は抵抗しようとした。しかし、なぜか抵抗できない。むしろ………なんか安心する……
ダメだ……私には……私には今西門くんがいる。
離してよ……
何でそんなことも言えないの?
変だよ……分かんないよ……
自分の気持ちが分かんない……
西門くんが好き。
でも……でも……私……
「天坂さん‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
西門くんの私を呼ぶ声で私は我に返った。
私は、滝城涼介を突き放した。
西門くんが走って私と滝城涼介の方に来る。
「あ、あの…西門くん。」
西門くんは私の腕を引っ張って自分の後ろに隠すようにした。
「あんたが、滝城涼介か……」
「……光栄だな、知ってもらえてるなんて。噂以上のイケメンだね。」
「………あんた…どうして天坂さんに付きまとうんだ」
「付きまとうなんて言い方は気にくわないけど………好きだから……そうに決まってる」
「…だと思った。好きならこれ以上天坂さんに近づかないでほしい…」
「無理」
西門くん、こういう話の通じないヤツ嫌いそう……
「………これ以上、あんたと話したくない……」
やっぱり…
西門くんは、私の腕を引いて歩き出した。
私はそれについて行く。
滝城涼介は何も言わない。

