「天坂さん。」 階段の下から聞こえてきた西門くんの声で私は滝城涼介の背中から目を逸らした。 「ごめん!!夢中になっちゃった……遅くなったから、送るよ。」 「大丈夫だよ!!私、ひとりで帰れるから。」 「遅いから送る。待ってて。」 西門くんは、最初に話しかけていた人に何か言ってこっちに来た。 「危ないから。」 西門くんは、学ランのボタンを全て開けたまま言った。 「うん……ありがとう。西門くん。ボタン、全部開いてるよ。」 「知ってる。閉めたら暑いから。」 私と西門くんは、歩き出した。