教室に西門くんを連れて行くとすぐにクラスのみんなに囲まれた。
「ゆ、百合!!あのイケメン、何!?!?」
「西門夏弥くん。転校生だって。」
「い、イケメン………」
陽の目はハートになっていた。
「ち、ちょっと、あんたは滝城涼介じゃないの!?!?」
「私は、イケメンなら誰でもいいの!!ってちょっと待った………事件よ………」
陽がいきなり意味不明なことを言い出した。
「はい??」
「大事件だわ。」
「何が??」
「あんたがイケメンに興味を示したことよ!!今まで、あの学校1のイケメン王子滝城涼介様にも興味を示さなかったのに……」
まず知らなかったし、やつは性格が悪いからね。
「西門くんは………」
あいつ(滝城涼介)と違うところ………
「爽やかだから!!」
私がそう言った瞬間、陽が有り得ないというような顔をした。
「爽やか……??」
「爽やかじゃない。」
「それを言ったら、滝城涼介様だって爽やかよ!!あの爽やかな笑顔、あの爽やかな振る舞い、あの爽やかな言葉遣い。何を取っても滝城涼介様よ!!!!」
「なら、陽は西門くんに興味ないのね??」
「う…………そ、それとこれとは別……」
私は、陽のこのリアクションを見るのが好きだ。
「天坂さん。」
低すぎず高すぎない心地いい声が私を呼んだ。
それは、西門くんだった。
陽が隣で「いいなぁ」と言いながら自分の席に戻った。
「何??」
「俺の席ってどこですか?」
私は、あっ!!と思った。
先生に席のことを聞くのを忘れていたからだ。
「わ、分かんない……机余って無いはずだから、他の所に取りに行って来るね。」
「あ、俺も行きます。」

