しばらく車に乗った後、急に止まった。


「着いたか。」


着いたかって……どこよここ……


窓から外を見ると、和風の大きな建物があった。


「降りるぞ。」


「いい。」


「は?」


「私はいいの。降りない。」


私がそう言うと、滝城涼介は私の腕を掴んで引っ張り出すのではなく、座り直して、運転手さんに言った。


「車を出してくれ。」


「え、で、ですが……」


「大丈夫だ。俺が責任を持つから。海まで出してくれ。」


運転手さんはしぶしぶという感じで車を再び出した。