【触れたい】とか【抱きしめたい】なんて問題じゃない。

こんなにも傍にいることが歯がゆいことだと、物足りないことだと思ったのは初めてのことだった。


「優くん、苦しいよ」


少し赤く染まりながら、小さい声でそう呟く彼女が堪らなく可愛くて。

ぎゅっと抱きしめていても足りない位に、彼女を求めてしまっていた。



このまま抱きしめていたい。

もっと強く抱きしめたい。


だけど、


そんなふうにしてしまったら、彼女が壊れてしまうんじゃないかと心配になる。



この温もりが消えてしまうんじゃないか、

この瞬間は全て夢になってしまうんじゃないか、



そんな不安があって、でもそれ以上に彼女を求めてしまってもいて。