靴箱から靴を取り出すとき後ろから声が降ってきた 「あれ?内藤まだいたのかー?」 坂口先生の声 「あ、もう帰ります」 「もう暗いから送ってやろうか」 先生は子供みたいに笑って 私の腕を引く え、あ、ちょっと 声を出したつもりだったのに 口から出てこなかった。 それを望んでいたのかもしれない。 正直、嬉しかった。