「あった」 腕時計は寂しそうにベンチの上に転がってた。 あーぁ、ちぎれちゃった…。 皮でできた巻く部分がちぎれてた。 あ、早く戻らなきゃ。 「あったかー?」 後ろを振り返ると片瀬くん。 わざわざ来てくれたんだ。 「あ、うん。あったよ」