そんな出会いからはや1ヶ月…

ボクは彼と暮らしている


もとい


暮らさせられている…


「毎日ボクの送迎なんかして、原稿は仕上がってるの?」


紅月は少しだけアクセルを踏む。

「終わってないんだ…
終わってないのにこんな事してて担当さん、怒ってるよねー」

また車の速度があがる。

「まぁた監禁生活だね」

車はとうとう制限速度を大幅に越えてしまう。

そんなボクらの前に人が…

「紅月ぃっ!」

キィーッ

車はなんとか止まったが……

「頼むから…安全運転してよ…
ボク達どちらも助からないぢゃん」

「確かに…
純夜、この手はどうしたんぢゃ?」

紅月に指摘されるまで気付かなかった。

事故ると思った瞬間、紅月の腕を握っていた。

無意識に…

「純夜はそんなに我の事が好きなんぢゃな」

嬉しそうにボクの手に口づける。

「そっ…そんなこと…」

そんなこと…あるはずない。

だって僕らは…



人と吸血鬼

食糧と食事者

ペットと主

…男と男



何だから…

でも…

「冗談はさておき、
怖い思いをさせて悪かったな…」

優しく頭を撫でる手に心地よさを感じるのは

何なんだろう…