溶けて消えてなくなった。

「ねぇ、先輩。これって何の歌のフレーズだっけー」

「シャボン玉じゃないかな」

納得がいかない。
先輩がちょっとドヤっているのが気に食わないのもあるが、絶対違う。

先輩こと雨宮 浩一は、同じ学校の先輩ではないが人生の先輩という意味で呼ばせてもらっている。

そしてなんと2年間の片思いの末、晴れてマイダーリンになったのだ!

「いいや、シャボン玉で決まりだよ。
ワトソン君。」

誰だワトソンて。

「先輩ってたまに年寄りくさいですよね」

「失礼だなぁ、博学だと言ってもらいたいね」

先輩と出会ったのは緑深いこのド田舎に、唯一ある図書館だった。

先輩はこのただの田舎町の図書館に、わざわざ別の街からきているらしい。

「ここは本がたくさんあっていいねぇ」

「先輩は物好きですよねぇ」

「もっと目上を敬え!」

隣の椅子から聞こえる非難を軽くあしらって机に向かう。

「これどうやって解くんですか、kouichi様ー」

調子のいいやつ、と隣から聞こえた気がしたが勘弁してやろう。

「ここはxに置き換えて・・」

突然だが、先輩はかっこいい。

本人曰くクォーターらしく、白と言ってもいいくらいのブロンドに、緑がかった黒い瞳。
肌は白いわ睫毛は長いわ・・嫌味かというほど綺麗だ。
最初に会った時は等身大の人形かと思ったほどだった。

「ユウ、聞いてる?」

「聞いてますよー、ハイ」

完全に嘘ですけどね。
先輩のイケメンボイスで名前を呼ばれて上の空になっていた←

私、及川 夕の死因はきっと先輩のイケボとなるでしょう!!!!!!!!!!

「よし、問題も教え終わったしそろそろ帰るぞ」

知らない内に解説が終わっていた・・だと?!

ふと窓の外を見ると・・。

「わぁー、空凄いですよ先輩」

「ホントだ!琥珀色に染まって綺麗だな」
「難しい言葉使わんでください。あれはオレンジって言うんですよ」

「横文字は嫌いだ!」

シャボン玉も横文字だけどなぁ、と思いつつ先輩と二人図書館を出た。