モヤモヤする。
イライラする。
こんな時に上田さんがいてくれれば…。
そういや、私冬樹の事あんだけ嫌がってたのに不思議だな〜。
今は自然と笑っていられる。
あいつの下で…。
でも可笑しいよね、あの一言で冬樹の事気に入っちゃうなんて。
えっ?
今私なんて言った?
気に入ってる?
って言ったよね?
えーーーっ!!
私冬樹の事気に入ってるの?
なんだ、答え出てるじゃん。
私は冬樹と同じで、冬樹の事を好きなんじゃなくて気に入ってるんだ。
なんだなんだ、そうだったのか。
(勝手に想像)
もう上田さん要らないね。
ごめんね上田さん。
解決しちゃった。
また冬樹に言わなくちゃ。
ブツブツ………。
「あれ?譜雪じゃない!」
この声はまさか!
………誰だっけ?
あ、そうそう上田さんだ。
相変わらず元気な上田さん。
「上田さん久しぶり」
「その上田さんてのやめてよ。堅苦しいから」
「えへへ、ごめんなさーい。志穂」
「なんだ呼べるじゃん、私の名前」
「やっと言えた」
「どうしたの?こんなところで」
「えっ?」
確かに私、こんな街中で何してんだろ。
「ま、お散歩?」
「あっ、じゃあさ私と一緒にショッピングしようよ」
「いいよ〜」
そしてやってきたのは…、
県内でも最高峰のショッピングモール。
で、私と志穂だけじゃなくて…、
「志穂ー!」
「佳ちゃん!」
なんと志穂の彼氏まで。
「初めまして。下田佳斗です!」
「あっ、初めまして。合野 譜雪です」
「えっ?君も譜雪ちゃん?」
「はい、そうですが?もしかして冬樹のお友達ですか?」
「うん。そうなんだ」
へぇー、偶然。
冬樹も呼べばよかった。
「じゃあ冬樹呼んで今からダブルデートしようよ」
「いいねいいね。私もその冬樹君見てみたいし!」
「えっ、でも」
「いいから呼んで?譜雪ちゃんが呼んだら絶対に来るよ、あいつ」
本当かな〜。
ま、呼んでみよ。
プルルル♪~
『もしもし!』
1コール目で出るとか速すぎ!
『どうしたの?』
『えっと、実は今佳ちゃん達とショッピングモールに来てて、ダブルデートしよって。それで冬樹を…。』
『照れなくてもいいぜ。すぐ行くから』
なんだよあいつ。
そして十分後-
「ふーゆーきっ!」
来た!
「よし、始めようぜ」
テンション高すぎ。
こいつらしいな。
「行こ〜」
そう言ってから、モール内にある映画館に行ったり、買い物をしたり、ゲーセンで遊んだり、フードコートでお昼ご飯食べたり。
いろいろした。
今日は楽しかったな〜。
日も沈んだし、そろそろ帰らなきゃ。
「じゃあね〜。またダブルデートしようね〜」
「うんっ!バイバイ」
で、何故隣にこいつがいるんだ?
「ねぇ、あんたもこっち?」
「そうだけど?何か?」
「いや、いつも会わないからてっきり反対側かと…。」
「あはは。俺はこっち。今日は楽しかったな〜」
「うん。なんか地味子じゃなくなった気分」
「譜雪は地味子なんかじゃないよ。譜雪は元から地味子じゃなかったんだ」
えっ?
なんで冬樹が知ってんの?
私は元から地味子だよ。
「確かに学校にいる時は地味だよ。でも今日あんたを見て分かった、あんたは地味じゃないって。ほら、今日はしゃいでただろ?あれだってホンモノの地味子がしないことだし、服の趣味だって人気者の上田と一緒だったじゃん」
そうだ!
そうじゃん!
私はただ三つ編みして校則にバッチリ合わせただけが地味子だと思ってた。
それが自分だと…。
けどもう違う。
明日からは髪の毛アレンジして、ストラップとか付けて。
でも勉強は頑張って!
可愛くて勉強出来たら志穂みたいになれるかな?
まっ、志穂は可愛すぎるんだけどね。
私は冬樹が隣にいることを忘れてルンルン気分で走った。
「何なんだ、あいつ…」