今日から春休みが始まる。
あの日から私の心は変わっていっている気がする。
でもそれがなんだか分からない。
それにその気持ちに自信が持てなくて、冬樹の気持ちも分からないし、ますます不安になる。
だから春休みは私の気持ちを考えるいい機会になるかもしれない。
だから春休みにちゃんと考えて、それで春休みが明けたらちゃんと冬樹に自分の気持ちを話そう。
たとえその気持ちが好きという気持ちでも、分からないという答えでも……。
それで冬樹に応えて貰わなくちゃ。
でも、その答えが偽りで私の本音じゃなかったら?
その本音が分からないままで終わっちゃう。
だから私は春休みの間に必死に考えた。
そして、ついに、春休みが、明けた。
だから、
「ふーゆーきっ!」
やっぱり来た。
「冬樹。来たんだ」
「もちろん!」
「ちょっと話があるんだ。だからいい?」
「おうっいいよ。珍しいな、譜雪からお誘いって」
「お誘いじゃない!いいから来てっ!」
緊張する〜。
この答えでいいのかな?
いいよね、これが私らしい答えだよね。
「私ね、春休みにいろいろ考えたんだ。でね、その答えが」
「ちょっと待って。何言ってるか分からないんだけど…。」
「聞けば分かるから聞いて?私、冬樹に対する気持ちが分からない。本音が分からないんだ」
「ごめん。マジで分んない」
「つまり、私があんたの事好きか嫌いか分からないって言ってんの!」
「うん分かった。けどなんでいきなり」
「決めてたんだ。絶対に春休みが明けたらこの事話そって。じゃないと中途半端でモヤモヤするから」
「俺の気持ちも聞きたいんだろ?」
何で分かったんだろ。
「見てりゃ分かるよ。前も言ったとおり俺はお前の事結構気に入ってるから」
「うん。素直に喜ぶよ」
「じゃあな」
「うん。またね」
そして私達はチャイムが鳴るまでに戻った。
気に入ってるって言われて結構嬉しい。けど気に入ってるはあくまで気に入られてるだけで、実際は好きでもなんでもない。
私、それが悲しいの?
何処かで悲しんでいる自分がいる。
好きって言ってもらいたい自分がいる。
ならやっぱり私はあいつの事を好きなのかもしれない。
でも今は無理。
やっぱりハッキリしない。
私、自分の本音が分からない。