あれから彼は何度か私の学校にやって来た。
「譜雪いる〜?」
「きゃーっ冬樹様だわ〜」
いつもこんな感じだ。
そして今日も、
「ふーゆーきっ!」
来た〜。
よし、お手洗いに…。
ガタッ。
私は勢いよく立ちあがってお手洗いを目指した。
「おい待てよ。」
無視無視。
なんで姉妹校なのかな?
姉妹校のせいで昼休みとかは出入り自由なんだ。
特にあいつ…。
中休み、昼休み、更には五分休みにまで…。
「あのー」
「譜雪が喋った!」
喜ぶな!
じゃなくて、
「ちょっとしつこすぎない?私が嫌がってるって見てて分んない?」
「分かるよ。見てなくてもオーラが凄い!」
じゃあ何で?
「人の事考えないで自分勝手に接する奴は大嫌いなの」
「確かに俺は結構自分勝手だよ。でも君だって自分勝手じゃん。」
な、何ですと〜!
「ほら、君いっつも俺の事避けてるよね?それって自分が嫌だからでしょ?」
そうだけど、あんたが自分勝手に一方的に喋ってくるのが悪いんじゃない。
それに、
「私はあんたの事もちゃんと考えているわよ」
「どんな事?」
「あんたが私に近づいて酷い目に遭う前に離れてもらうよう頑張ってるの」
「酷い目ね。結構黄色い声援飛んでたけどな。譜雪を落とすのは難しいから頑張れって」
「もしあんたが私を落とせなかったら酷い目に遭うわよ?本気だから」
「じゃあ譜雪が落ちてくれればいいじゃん」
「はあ?無理だから。〝この俺〟君なら他に考えがあるでしょ。今度聞かせてね、あんたの考え。そろそろチャイムが鳴るから私はこれで」
キーンコーンカーンコーン♪~
よし逃げろ!
私は猛ダッシュで教室を目指した。