クリスマスが終わり、冬休みが終わった。
私は教室の隅の席に座って参考書を開いた。
ノートを出してシャーペンを必死に動かす。
やっぱり落ち着くな、これ。
私は外を見た。
いつもと変わらない青空が広がっている。
太陽がキラキラ光っている。
綺麗だな。
私はチャイムが鳴るまでノートを写し続けた。
キーンコーンカーンコーン♪~
終わった〜。
よし帰ろ。
適当に鞄に詰め込んで教室を出た。
寒ッ!
廊下に出た瞬間、冷たい風が私を襲う。
皆体を寄せ合ったりして寒さを凌いでいる。
私もマフラーを鼻のところまで上げて、少し縮こまるような体制になった。
マシかな?
腕を組んで足早に歩き出す。
地面がどんどん過ぎて行く。
前が見えないから影とかをしっかりチェックして歩く。
まったく青空の癖にどうなってんだ。
「きゃっ」
ドスッ。
いててて。
まただ。
いつかこんな事が…。
「いって。あっ、また君か」
その声は…。
私は恐る恐る顔を上げた。
し、白雪王子!
「また会いましたね(苦笑)」
っていうか、彼この辺だったんだ!
制服を見ると、確か西高。
受験生の私には、大抵何処の学校がこの制服とか分かってしまう。
…多分ひとつの特技…。
西高とは、西遠寺高等学校の略で、私の学校の姉妹校。
ちなみに私の学校は北園寺高等学園という。
これでほうえんじと読むのだ!
もともと男子校と女子校に別れていて、私の通っているのは元女子校で彼の通っている学校は元男子校という訳。
ちなみにちなみに、彼の学校は男子に人気があるらしい。
制服がかっいいからかな?
紺のブレザーにグレーのチェックのパンツってシンプルなんだけどネクタイの柄が校章でその校章がかっこいいらしい。
私の学校は女子に人気があって、やっぱりここも制服狙い。
茶色のブレザーにピンクのチェックのスカート!
しかもブラウスは薄いピンク色だし、リボンも赤で可愛いの。
私なんかが着るようなものじゃないんだけどね。
一応進学校だから。
ってこんな変な説明してる暇なかった。
「また会いましたね。」
「じゃなくて、先に言うことあるだろ」
えっ?
あっ、
「ごめんなさい」
「名前は?」
名前、聞いてきた。
「勘違いしないで。今度ぶつかりそうになった時、名前呼ばなきゃいけないだろ?」
彼は笑ってそう言った。
なんだ、結構かっこいいじゃん。
「私は合野 譜雪。あなたは?」
「俺は、というより、俺も相野 冬樹」
えっ?嘘…。
嬉しいの?
嫌なの?
分からない。
分かるのは全く同んなじ名前になる事は珍しい事だと言う事。
しかも男女。
「ふゆき」って呼ばれても、「あいの」って呼ばれても「はいっ!」って同時に返事するだけ。
ややこしい。
ややこしいのは嫌い。
だから私こいつ嫌いだ。
「私、あんたの事嫌い」
「えっ?いきなり何?」
そうだった。
つい本心が……。
「ご、ごめん。今の忘れて?」
「無理。俺は結構気に入ったから」
はあ〜〜〜〜〜!?!?
「その冗談笑えないよ?」
「笑わなくていい。だって本気だもん」
彼はニカッと笑った。
あー無理。
私こいつ苦手だわ。
こういうポジティブな思考の持ち主。
「とりあえず、私はあんたの事生理的に受け付けないから」
「俺は全然OKだから。じゃあね、合野譜雪さん」
ムッカ〜〜〜〜〜〜!!!!
覚えてろ!
相野冬樹ー!!!!
その夜、私はやけくそで勉強しました。