ロフトの上の冷たい毒 星のない漆黒の空の下



私が、妹からペットを押し付けられたのは、今回が初めてではなかった。




7年前の春の日曜日。


アパートの自室で1人で過ごす私の携帯に、妹の敦子から着信が入った。


『お姉ちゃん、聞いてよ!』


姉の私とは、正反対に甲高くけたたましい喋り方をする敦子。


昔から、せっかちな性分の5歳違いの妹は、メールよりも電話を好んだ。


『昨日、ショッピングモールにあるペットショップに、行ったのね?』


敦子が語尾をあげたことで、
この話は長くなる、と感じた私はリモコンを使い、テレビの電源を切った。


『そしたらね、耳の垂れたベージュのうさぎがいて。

種類はロップヤードっていうんだけどさ。
ゲージから出されてて、店内をチョロチョロしてるの。

うさぎって、人に慣れるのね!知らなかったよ。


よちよち歩きの亜樹斗の後、くっついて歩くの。
その2ショットがめっちゃ可愛くて、もう即決。

少し大きくなったうさぎだったから、値段も安くしてくれて、やったね〜ってパパも大喜びしてて。

『ピョン太』って名前付けて、うちに連れて帰ったのよ…