ーー何が。
前の『ピョン太』の時だって、敦子が亜樹斗連れて逢いにきたの、始めの二回だけじゃない…
あとはほったらかしで。
私が実家に行った時、顔を合わせたってうさぎのことなんか何も訊かなかったくせに。
『お姉ちゃん、お願いよ。
亜樹斗、泣き出すとしつこくて。
私、困っちゃう!
今日、仕事忙しくて、やっと帰ったらこれだもん。
お母さんは、財布無くしたって騒いでて、探し回った挙げ句、しっかりエコバッグに入ってるし。
旦那は月曜だっていうのに飲み会で、11時頃、駅に着くから車で迎えに行かなきゃ。
私も働いてるから、もっと交通の便がいいとこに住みたいけど。
お母さんがここ離れたくないっていうし』
敦子は言外に何かを言いたいのだ。
私が母親の面倒を見ている、と。
「…分かったよ。うさぎ預かるよ」
私は、不承不承、返事をした。

