ーーあ…これ?うさぎが入っていたんです。
2日前に死んでしまったの。


私の言葉に、達也はうつ伏せに起こしていた上半身を沈めた。


ーーそっか…


安堵したように呟いて。



ーーうさぎ、嫌いなんですか?可愛いいのに。


私の問いに、達也は少し笑って


ーーアレルギーなんだよ。齧歯類(げっしるい)の。
いないなら大丈夫。


そう答えた後、私に手招きをした。


私たちはまた、愛し合った。

今度こそ、お互いをしっかりと確かめながら。


私と達也が布団から起き出し、下着を身につけたのは、夕方近かった。


31歳だった私。


人生でこんなことは、初めてだった。




達也は寛容な男だった。

私を軽い女だとも、だらしない女だとも思わずにいてくれた。


私達は、それをきっかけに逢瀬を重ねるようになった。

それは、私の人生に彩を与えた。


『結婚』


私にもそれを選択出来るかもしれない。


チャンスを与えられたのだ。